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Wood stove information news

Vol.1-1 2019-09-15

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TIMES編集長 鈴木満紀子

【願い】

 私は、国立大学教育学部を卒業して、御縁あってスキャンサームの本部に入社させて頂きました。早いもので勤続10年の月日が経ち、時代は「ガラケー」から「スマホ」、「DVD」から「ブルーレイ」を超え「アマゾンプライム」などと、大きな利便性の進化を遂げています。
しかしながら、薪ストーブに限っては“少しだけ”間違ってしまっているのかもしれません。私が入社した2009年は、薪ストーブブームが到来し、今まさにブレイクする、そんな年でした。当時、私の会社ではアメリカ製の薪ストーブを年間100台以上販売し、さらに全国に向けてFC展開を行っていました。
今では当たり前となっていますが、煙道火災などの事故予防の為「二重煙突の徹底」、「炉壁の25㎜空気層の徹底」をコンセプトに組織化していきました。そのような当たり前のことで、FC加盟店が集まる時代ですから、当時も常識がいろいろで大変だったと記憶しています。

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 「安全を目的」として組織化を図った当時の「Firelife」は、国土交通省が 「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」のロードマップを作成するや否や、住宅の変化が急速に進むことを実感させられました。また、つくば建築研究所に建築されたLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅は、ドイツ発パッシブハウスを参考に設計・施工されたもので、ドイツ住宅同様の断熱・気密をベースに国内最高峰の頭脳で研究が行われていました。このLCCM住宅は、気密・断熱を高め、南向きの全てを大きなガラスにして日射を得るなど、無暖房にかなり近い生活ができることを実証するものでした。反面、夏場の日射におけるオーバーヒートが課題だったように記憶しています。

勿論、この住宅見学は私たち薪ストーブ専門店にとって、とても大きな衝撃だったことは言うまでもありません。暖房がいらなくなるというのは勿論ですが、更なる問題は「高気密」「高断熱」の環境下で、薪ストーブ使用による有毒ガスの逆流です。そんな折、高気密・高断熱住宅の先進国であるドイツ、薪ストーブトップブランド「スキャンサーム」からのオファーがあり、早々に社長を始め数名でドイツに視察・契約に向かいました。そしてあまりの日本との違いに危機感をもって帰ってくるなり、実験やグループ内での勉強会、さらには数名の女性が選ばれドイツでの研修などを重ねていきました。その際、私も同行させていただきましたが、社長曰く、女性のほうが勉強してくるそうです(笑)。

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日本には法律や法規がヨーロッパのように整っていない為、簡単に済ませる傾向があるように感じます。一方で真面目に取り組む薪ストーブ関係者がいるものの、全般的に「薪ストーブ店」「薪ストーブ設置工務店」「薪ストーブ使用者」の方々の危機感が薄いと感じます。
10年、20年前の薪ストーブ施工例に憧れ、20年以上も前の薪ストーブを購入する。
その時代に、勿論「高気密・高断熱住宅」はないのですから、その薪ストーブは高気密住宅に対応するために作られた製品ではなく、
「低気密住宅専用薪ストーブ」?ということになるでしょうか…?

私たちは来客されたお客様に、ドイツの薪ストーブ店のお話や、サイトを見て頂き、中央ヨーロッパを中心に
「ものすごい勢いで、安全の為、薪ストーブも進化をしていること」をご説明すると皆さん真剣なお顔になり、取付機種の変更、又は少し寂しいですが、設置を取りやめになる方もいらっしゃいます。しかし大切なことと信じ、お話しています。
「安全に使いたい」その様な方々を始め、一人でも多く方にお役立ていただけるよう、広報部から定期的にスキャンサームタイムズと題して、薪ストーブの進化、さらには日本とは全く異なる本場ヨーロッパの常識をお伝えし、安全に薪ストーブを設置、使用していただけたらと思います。参考になれば嬉しいです。

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